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変わるものと変えてはいけないもの

こんにちは。所長の辻です。

唐突ですが質問です。あなたは何の為に創業したのでしょうか?

私の場合は

・ICTを通じて北信、長野全体、ひいては日本を活性化させたい

・個人のお客様や小規模事業者様にICT、IT経営を通じて共に成長し、地域の活性化に繋げたい

・自らのレベルを高め、質の高いサービスを個人のお客様や小規模事業者様に提供し続けたい

この3つが、創業にあたっての志というか理念というか拠り所にしている考えです。

 

なので私の場合、経営力向上を謳ったとしても、売上倍増とかは申し上げません。理由は売上は業種はもちろんの事、その時の背景や求められるもの、所謂ニーズは変わります。

ニーズが変わると言う事はビジネスモデルにも変化を及ぼす可能性があるわけです。

 

例えば私の場合は食いしん坊なので、美味しい物、それもできれば安くて美味しいものが好きなのですが、その中の好物の一つとして牛乳パンがあります。

大手メーカーの物を買うこともありますが、個人的には名も知られていない小さな地元の会社さんが作る牛乳パンを好んで買います。理由はその会社さんによってパッケージングも、量も、材料も違って来るので当然なが味も変わってきます。

特に私が好きなのは豊野町にある小さなお店が作っている牛乳パンです。

多分、豊野町・牛乳パンで検索して頂くと会社名がわかるかと思います。

そこのパッケージングは昔ながらの絵のままで、住所も裏に貼られているシールは長野市豊野町となっておりますが、ビニールのパッケージには未だ上水内郡豊野町と記載されています。

私、実際にそこのお店にも行きましたが、本当に小さなお店で、残念ながらそこでは牛乳パンが売り切れになっていました。ですがお店の方(多分奥様だと思いますが)が、ここに行けばさっき納品したばかりだから買えるかも知れないよって教えてくれました。場所は豊野町のスーパーです。また店内にはどこに収めているかと言うポスターも貼ってありました。残念ながら私の研究所(自宅ですが)の近くにある同系列のスーパーの1店舗(稲葉店)では取り扱いがなくなってしまいましたが、もう1店舗(七瀬店)では継続してありました。またお店の方も七瀬店であれば毎日配達に行っているということも教えてくれました。

つまり七瀬店に行けばいつでも買えるということになります。

 

こちらのお店ではパッケージングは古いデザインのものを維持しつつも販売ルートは店舗からスーパーへそしてそのスーパーへの配達の頻度も変わっています。つまり創業時の志は変わらないが、ビジネスモデルは進化したと言えるでしょう。時代が変わればその地域だけではやって行けなくなる可能性は十分にあります、しかしその際に販売ルートを多角化することで同じ量を作っていたとしても必ずどこかで売れるということになります。しかし、このお店のパンが人気があると言う事は創業時の信念である美味しいものを提供したいと言うのが根底にあるからであり、昔から変わらない味を提供しているからだと言えるでしょう。

正直申し上げると、某大メーカーのよりお値段は少し高めです。しかし私がそこの牛乳パンが好きなのは変わらない味と食に対する安全性です。

 

某大メーカーの場合は大量生産とコスト削減をする為に色々な添加物が入っています。逆にこの豊野町の牛乳パンは昔から変わらない材料のみを使っています。なので安心して食べられます。理由は添加物が色々入ると言う事は私の考えでは何を食べされているかわからないと言うのがあるからです。特に飲食・食品業では安さもそうですが、特に小規模事業者の場合は品質が求められます。

私からしてみると品質によって値段が変わってくるのは当然だと思います。つまり小規模事業者である場合は値段以上に品質を追求すると言うのが命題だと思われます。価格競争をしても勝ち目はありませんし、体力が続かないでしょう。そうなると、小規模事業者はどうやったら高い品質のものが作れるのか、これを最優先にし、値付けは品質相応にすればいい訳です。

 

多くの小規模事業者は志や理念、信念を持って開業したと思います。実際にこの豊野町のお店も随分長く存在しています。どの程度の利益を出しているかは判りません。財務諸表を見ていないので。ただ少なくとも言える事は、今でも存在していると言うのが唯一の事実であり、真実です。

 

つまり私を含めた小規模事業者の心構えと致しましては

・志や信念などの創業時の心構えを忘れない(常に初心に帰る)

・値段以上に品質を追求する(品質が低く、値段の高いものは小規模事業者であれば淘汰されるし、品質が商品の差別化に繋がる)

・時代によって販売ルートなどのビジネスモデルは進化する(逆に言うと乗り遅れないよう、常にアンテナを張っておく)

これが売上以上に基本的な経営の基盤ではないかとこの豊野町のお店を通じて思わされました。